パピコ。

夏は夏らしく、夏じみたことをしないといけないのよって、涼宮ハルヒも言っていたことだし、

何か僕もそれらしいことをしよう

 

って、ただそれだけの動機で、パピコを買った。ファミマで買った。定番のやつを買った。

 

 

120円だった。金欠社会人の僕からしたら、そんなに安くはない額である。

ちょっと歩けばイオンがあるし、もっと歩けば100円ローソンもある街だ。

 

 

それでも僕は臆することなく、パピコを買った。ファミマで買った。ミルクコーヒーのやつを買った。

 

 

それはまったく、今日が25日だったことに起因する。どんなに薄給で安月給で金欠でヒーヒー言っていたとしても、給料日は労働者に等しくやってくる。(額は等しくない)

 

 

セミが鳴いてない以外、丸っ切り夏の昼下がり。

僕は母校の名前が書かれた、青のTシャツを着ていた。

 

青のTシャツに、リュックサック、ユニクロのヨレヨレGパンに、アディダスのスニーカー。

果たして誰が僕を見て、社会人だと思うだろうか。どこからどう見たって、夏休みの大学生である。

 

 

あの頃に戻りたいと、ちょっとだけ思いながら、パピコを食べた。二つに割って食べた。フタの中の余剰分から食べた。シャリシャリとしていた。

 

 

言うまでもなくパピコは、2本でひとつのシャリシャリアイスである。僕の口は上下合わせても1つしかないので、2本一気に食べることはできない。

 

パピコをくわえてチューチューしながら、自転車を漕いで、鴨川沿いを走った。昼間だから、ワーワー騒いでいる学生もどきたちがいた。

 

 

1本食べ終わった頃、ちょうど目的地について、もう1本に手をかける。

 

 

 

パピコはすっかり、溶けてしまっていた。

開けた途端、ビュッと飛び出て、フタの中の余剰分なんて、最初からなかったみたいだった。

 

 

あの頃・・・僕や僕らや、君やあなたが、まだ人生の第1章にいたあの頃。

パピコは、こんな溶け方をしていただろうか。

隣にいた誰かと、パピコを一本ずつ分け合っていたあの頃。

 

 

2本目のパピコは、ずいぶん溶けてしまっていたけれど、でもやっぱり甘くて、シャリシャリとしていた。テレビのニュースが、水不足の可能性を伝えていた。

 

 

 

 

 

 

 

今年の夏は、暑いらしい。