読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

3月8日と9日に、道後温泉へ行った話④

旅行記

一番最初の記憶は、目覚ましを止めたことだった。
3月9日、5時20分頃のことである。


次に目が覚めた時、時計は6時20分を指していた。相棒と二人、あちゃー、と声に出す。時太鼓は、とうに鳴り終わっている。

あちゃーの母音aが聞こえ終わるか終わらないかで、僕たちはまた眠りに落ちた。
完全に二人が起き上がったのは、7時半手前のことだった。


朝食は、8時にお願いしていた。
1階のレストラン(とは言い上、見た目は食堂、というか、ご飯食べブースという感じの広間)で、和朝食をいただく。

 

f:id:tagosaku_D_54:20170311152718j:image

 

名物のじゃこ天があって、嬉しかった。魚の焼き具合も、うまいものだった。
白ごはんは、自分でよそうシステム。トラック野郎はそれでいいのだ。

 

キャラに合わないけれど、実はあんまり、和朝食が好きではない。
そんな僕でも、美味しく食べることができたのだから、ここのご飯は美味しいという口コミに、誤りはなかったのだろう。
予算が許せば、晩御飯も食べたかったが、3月に閉館するこの宿、もはや叶わぬ夢である。

 


朝ごはんを食べながら、この建物の今後について、同行人とあれこれ話す。

買い手があったら改装されて、綺麗になって使われるんじゃないか、とか。
道後温泉全体が不景気なら、廃墟化する前に取り壊されるんじゃないか、とか。
いずれにしても、諸行無常の響きある朝食だった。

 


いったん部屋に戻って、横になる。
食べてすぐ寝たら牛になるという伝説の信ぴょう性について、話す。
どんなにバカバカしい話をしても、それなりに盛り上がるのが旅行の力だ。思い出しても楽しい。

でも、こんなバカバカしい話をしていたせいで、宿の朝風呂に入ることができなかった。
10時前に、チェックアウト。

 


昨日に増して、寒かった。
しっかり防寒していても、頭と顔は冷たい。最近学んだのだが、僕は頭と顔を冷やすと、お腹が痛くなるらしい。

 

 

 

f:id:tagosaku_D_54:20170311152757j:image
宿の正面、来館時には気がつかなかったのだが、菜の花でいっぱいだった。


黄色が彩る景色、気がつかなかったものがそこにあるというのが、余計に僕たちを感傷に浸らせる。この宿がなくなっても、菜の花は咲き続けるのだろうか。
写真では、うまく伝わらないのが悔しい。

 

 

 

 f:id:tagosaku_D_54:20170311153305j:image

 

 

f:id:tagosaku_D_54:20170311152854j:image
スーツケースをゴリゴリ引きながら、三度道後温泉本館にチャレンジ。
「満席」という文字が見えたのでドキッとしたが、上から2番目のグレードが、ということだった。
僕たちの目当て、下から2番目のグレードは、余裕たっぷりらしい。よかった。

 

下から2番目のグレード、具体的には、

・神の湯に入湯できる
・2階大広間で休憩ができる(お茶とお菓子付き)
・3階坊ちゃんの間(夏目漱石ゆかり)を見学できる

という、3つがセットになったグレードだ。840円。
ここでようやく同行人は、割引券を使うことができた。一人700円くらいになった。


スーツケースを置く場所がないんじゃないかと心配していたが、2階の休憩室に置くことができるとのこと。安心。
(その代わり、鍵をかけて、貴重品は入れないでください、という前提)


道後温泉本館も、館内は撮影が禁止されていた。
千と千尋の神隠し』のモデルとして名高い浴場だが、むしろ松山城とよく似ているように感じた。

案内の人に尋ねてみると、
「城大工の坂本又八郎が起用されています、鋭いですね」
と褒められた。


風呂に入る前に、又(ゆう)新殿を見学。拝観料は別料金260円だが、上二つのグレードだと、こちらも料金に含まれるらしい。

 

又新殿は、皇室専用の湯殿だ。こちらも言うまでもなく、撮影禁止。気になる人は、松山市のホームページなどご覧なさい。

庵治石を用いた湯殿に、うっすらと黒い線が残っていた。お湯が入っていた名残らしい。
ただ実際に利用された回数は少なく、昭和天皇が、昭和25年の行幸時にお使いになられたのが最後らしい。

警備の都合上、もう二度と使われることはないのだという。時代。

 

 

 

f:id:tagosaku_D_54:20170311152937j:image
それから、坊ちゃんの間を見学。こちらは、撮影が許可されている。

といっても、特に珍しい展示や、史跡があるわけでもなく、ここに漱石も来たんだなぁ・・・と、想いを馳せるくらいしか、することはない。

 

 

 

f:id:tagosaku_D_54:20170311152955j:image
それにしてもこの漱石TOKIO松岡昌宏に似てませんか?

 

 

 

f:id:tagosaku_D_54:20170311153022j:image

こっちは少し山田孝之に似ている。

 

 

休憩室に戻り、貴重品だけを持って・・・いや違う、貸しタオルも持っていた。1つ60円で、みかん石鹸が付いてくる。
着替えも持ってたし、全然貴重品だけじゃなかった。

ようするに、スーツケースを置いて、と言いたいのだ。

とにかく、そんなあれやこれやをもって、ようやく浴室へ向かう。


男子脱衣所は、東西に横長であった。浴室も東西に分かれていて、僕はまず西へ、同行人は東へ入浴した。

西の浴室は静かであった。僕を含めて、入浴客は4人くらいしかいなかった。
なんでだろうと見回すと、立派な龍を背中にたたえたおっさんが、身体を洗っていた。なるほど。

 


みかん石鹸は、泡立ちが良かった。それに、みかんのいい匂いがした。
でも、さすがにこれで頭を洗うべきではなかった。カシカシになってしまって、2日経った今も、少し髪の毛の調子が悪い。


龍がいたけど、気にせず歌っていた。聞こえないボリュームで。逆鱗に触れぬように。

 

東も西も、浴場の様子はそう変わらない。壁に描かれたタイル絵の柄と、
「坊ちゃん泳ぐべからず」
という木札の位置が違うくらいだ。

 

あと客層と。
龍に追いやられた猿たちが、朗らかに入浴していたのである。

泉質は宿と同じだったが、脱衣所が寒すぎて、すぐ冷めてしまうのが玉に瑕だ。

 

 

 

f:id:tagosaku_D_54:20170311153107j:image

先述の通り、撮影が禁止されている館内であるが、
「お茶とお菓子くらいならいいですよ」
と言われたので、お言葉に甘えた一枚。お風呂を上がると、絶妙なタイミングで運んできてくれるのだ。


同行人は、全然戻ってこなかった。浴室で一度会ったのに、あんまりにも遅い。
結局、1時間近く待つことになった。すっかり湯冷めして、神田川の気分を味わう。

 

待ってる間、ぼーっとしていたら、お茶のおかわりを勧めてくれた。長時間居座っているというのに。
あんまり申し訳ないので、いよかんサイダーと坊っちゃん団子を買って食べた。

 f:id:tagosaku_D_54:20170311153134p:image

 

 

太鼓に背中を押されるようにして、本館を出た。
雲間から青空が見える、いい天気だった。