3月8日と9日に、道後温泉へ行った話③

ロープウェイを降りると、小雨ももう止んでいて、本当に変な天気だと独りごちた。

 

同行人は、隣でずっと凹んでいる。せっかく持ってた割引券の存在を、帰り道でようやく思い出したからである。
松山城の入城と、ロープウェイ往復が、各2割引になったはずらしい。

そんなんええがなと僕は笑うけど、同行人はすっかり凹んでしまっていて、いつもの元気が見る影もなかった。


どうしたものかと思ったその時、出口の近くに、一番可愛かった券売機マドンナの姿を認めた。
同行人は途端に元気になった。

思い余って、記念写真まで撮ってもらっていた。
はにかみながら笑うマドンナは、本当に可愛い。横ではにかむ同行人は、すっかり元気になっていて、それもまた微笑ましい。

 

外へ出ると、雨はひとまず止んでいて、折りたたみ傘が邪魔になった。さっきまで重用していたけど、今はもう邪魔者扱い。人間とは、かくも勝手な生き物なのだ。

 

大街道方面へ、緩やかに下る。
途中、行きしなから気になっていた、たまごバター餅とやらを買って食べた。一つ100円、美味しかったけど、現代力が低いので、写真は撮り忘れてしまった。

棚の上に乗せるかなんかして、
「棚からバター餅」
と言いたかったのだけど。


大街道電停へ着くまでの5分の間に、雨はまたサラサラと降ってきた。
折りたたみ傘、邪険にしてごめんよ。大いに活躍してください。


三越に再び立ち寄って、荷物を取り出し、電停へ。
路面電車は、さほど待つことなくやってきた。一路、道後温泉へ向かうのである。

道後温泉へ行くものと、行かないものがあると聞いていたのだが、割とすんなり乗り継ぐことができた。本当に、観光客に嬉しい街だ。

 

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道後温泉駅に着いた途端、街の雰囲気が大きく変わった。
「明治が息づく」なんて、陳腐な表現は使いたくないが、要するに、そういうことだ。

道後温泉本館を中心に、コンパクトなまちづくりが行われているな、と思った。今日の役目を終えた坊っちゃん列車が、黙って逆光の向こうにいた。

 

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時計はちょうど、17時をさすかささないか、といったところ。
いや、さしてはいないのだ。からくり時計は、まだ動いていなかったから。

 

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道後温泉のからくり時計は、1時間ごとに動き出して、観光客を楽しませるのである。

動き出すのを楽しみにして、観光客がドヤドヤと集まってくる。

 

とはいえ、今日は水曜日。
そんなに大した人手でもない。賑やかなれど、騒がしからず。ちょうどいい塩梅だった。

からくり時計は、可愛く可愛く、カラカラ動いていた。
彼が動きを終えると、途端に観衆は散らばり去っていった。

僕と同行人は、時計のすぐ横の足湯で、少し休息をとった。お湯は、少しぬるすぎた。

 

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そこから宿まで、徒歩10分弱。
いくつかの条件(和室であるとか、朝ごはんがつくとか、あと何より値段とか)で絞り込んだ結果、選ばれたお宿だ。

 

 

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道後やすらぎ荘。
元々、トラック協会の保養荘的な扱いだったそうで、30余年目の今年3月、惜しまれながらも閉館するらしい。
粗品として、タオルをいただいた。初めてきたのに、そしてもう二度と来れないのに。なんだか少し寂しかった。


確かに、お客さんは少なかった。僕たちの他に、あと2組くらいしかいなかったんじゃなかろうか。
向かいの椿館は、道後温泉でも一、二を争うような大ホテルで、なんなら少し格差すら感じる。

僕たちはそれでも、こちらの方が高台にあるんだぞ!と、お互いを鼓舞した。
(それだけ、アクセスが不便だということだ。)

その分、館内は静かで、落ち着いた雰囲気ではあったけれど。エレベーターのサニクリーンが、独特のにおいを放っていた。


そういえば、内装をすっかり撮影し忘れていた。
「修学旅行みたいなお宿」
といえば、だいたいご想像いただけるかと思う。

ただ修学旅行にしては、少し大浴場が小さかったかな。15人も入れば、いっぱいになってしまうサイズ。

これだけ少ない宿泊客と、なぜか同じ時間にぶつかってしまって、貸切にならなかったのが残念である。


宿に荷物を置いて、ちょっと体を休ませてから、道後温泉本館に向かった。
宿の雪駄を借りた。鼻緒が革で、少し食い込み痛かった。

浴衣で出かけたかったけれど、あんまり寒いので、諦めた。

 

 

 

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なんてことだ!
道後温泉本館は満席だった。団体客がいるので、休憩の広間が一時間は空かないのだという。

道後温泉本館の入浴システムは4つ。
値段に応じて、利用できる風呂の数や、休憩室の質などが異なる。
がんばれゴエモンみたいで面白かったのだが、僕たちが目当てにしていた、下から2番目のグレードが、ちょうど満席になってしまっていた。

お風呂に入るだけならご利用いただけます、ということであったが、それも味気なくて、やめた。
お土産を先にチェックしたり、ご飯を食べたりしてから、再度訪れれば良い。

 

 

 

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道後温泉本館の斜向かい、おいでん家の鯛めしは、美味しいと聞いていた。昼間鯛めしを食べなかったのは、それゆえである。
僕は宇和島鯛めしを、同行人は炙り鯛めしを注文した。

仲良く半分こするあたり、僕はいい相棒に恵まれたなぁと、しみじみ。ありが鯛。

 

 

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「お腹いっぱいで風呂入ると、体に悪いよなぁ」と笑いながら、改めて、道後温泉本館に向かう。

なんてこった!まだ満席になってやがる!
空いたふちから入浴者がやってくるので、こうなってしまうのだという。

 

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結局、この日は諦めて、本館ほど近くの、椿の湯に向かうことにした。(写真は、二日目撮影)

 

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こちらの方が安い上に、湯自体は本館と同じであるから、もういいじゃん、といったところ。
道後温泉本館は、明日訪れることにしましょう、そうしましょう。


椿の湯の脱衣所ロッカーは、一回10円。
大変安価なのだけど、この時あいにく、10円玉を持っていなかった。
困りつつ番台へ向かう途中、両替機の存在に気づく。
なるほど、同じような人が、たくさんいるのである。


シャリンシャリンと両替される音を聞いていると、小さな女の子が100円玉を手にして、女湯から出てきたのが見えた。

「10円玉にかえてくーださい!」
と、番台に100円を差し出す女の子。
おつかいにきていたのだ。

はいよはいよと、10円十枚を手渡した、番台のおばちゃん。
「両替機が向こうにあるよ」
なんて、無粋なことは言わない。まだ風呂に入ってないのに、ほっこりした。

 

この日の夜、ちょうどマツコと有吉が、そんな話をテレビでしていたが、道後温泉の脱衣所内、もちろん浴室内は、撮影禁止である。あたりまえ。


椿の湯は、割と広かった。
道後温泉の泉質なのか、はじめ熱く、すぐぬるくなり、そしてまたすぐ熱くなる。
熱が自分の中に入り込んでくるのが、わかるような、お湯。いやはや、気持ちいいのなんの。


都々逸とか音頭とか、端唄とか小唄とかを、小さな声で歌っていた。他のお客さんに聞こえないボリュームで。
幕末太陽傳みたいな心持ちで、善哉善哉だった。


風呂上り、もう一度、土産物通りに戻る。正式名称があるはずなのだが、失念してしまった。いま調べます。

 

わかりました、道後ハイカラ通り、 です。

 

風呂上り、もう一度、道後ハイカラ通りに戻る。これが正式名称だ。

道後サイダーと、道後ゆずサイダーと、アイスもなかと、オレンジエールを買って、飲んで、食べた。

 

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オレンジエールは、宿で飲んだ。思ったより、ビールビールしたビールだった。


土産物を再チェックして、明日に備える。これで時短になる程、僕は意志が強くないデブだ。

 

宿に帰る途中、他のお宿の足湯に浸かった。無料だった。駅前の足湯よりも、だいぶ熱めで、気持ちよかった。頭寒足熱とは、よく言ったものだ。
ほとんど湯冷めせずに、帰ることができた。


宿に帰ってから、花札に興じた。お金は賭けてない。本当に。本当だ。信じてくれ。頼む。

コテンパンにやられた。
いやー、よかったー、お金賭けてなくて!!

いや、本当に賭けてないんですけどね。


なお、記述が後先になってしまったが、宿のお風呂に入ったのはこの前後だ。
テレビでマツコと有吉が話をしていたのもこの時間。青山アナウンサーって、もっと可愛くなかったっけ?

 

チャンネルを変えたら、キムハンソルのニュースをやっていた。
他人事として考えれば、いまの世界の流れは、本当に面白い。未来の歴史家は、たぶん、楽しんでこの時代を眺めることができるだろうに。


時計を見ると、0時を少し回ったくらいであった。

道後温泉本館では、6時、正午、18時と、1日三回、時太鼓が鳴らされる。
せっかくなので、朝イチの太鼓が聞きたいなあという話になり、花札を片付けて、就寝した。


酒はオレンジエールしか飲んでいないのに、なぜだかすっと、眠ることができた。それだけ疲れていたということだろう。


夢の中で、二日目を先取りしていた気がする。