3月2日に、断食が終わった話

 

2月27日19時半〜3月2日19時半までの、丸三日間。

なぜか急に思い立って、僕は断食をし始めた。

 

水分のほか、固形物を口に入れない生活。

たった3日、しかも睡眠も入れれば、ほぼ2日弱程度の軽い断食だ。

 

と、思っていたのが、甘かった。

全然軽くない。超しんどいのだ。

 

 

空腹はある地点を超えると常態化して、常に気持ち悪いような、吐き気がするような気分になる。

加えて、時折思い出したように、胃袋が主張を始めるのである。おなかすいた、と、無理やり思わされてしまうのだ。

 

そんな欲求に打ち勝って、僕は決めていた期間、3日間の断食を終えた。

 

 

 

と、ここに書きたかった。本当は、打ち勝っていない。

僕は、3月2日、18時に、ラーメンを食べたのだ。

期間終了まで、1時間半を残して、僕はドロップアウトしたのである。

 

 

否、そうではない。断じて、そうではないのだ。

18時に閉館する図書館を追い出されて、行く当てもない僕の目に、行きつけのラーメン屋が飛び込んだのだ。こうなるともう、仕方ない。

抗う術はないし、第一、抗う意味がない。

 

なぜならば、その一時間半で何もできないから、だ。

もしも、図書館が20時閉館であったなら。

僕はもう一本映画を見て、それからラーメンでもお好み焼きでも、食べにいったことだろう。

 

しかし、今や僕に居場所はないのだ。家しかないのだ。

家しかないのに、家に帰っても、食べるものは何もないのだ。

家に帰ってから、改めて店まで出てくる意味はなんなのだ。その一時間半で、人生をもっと豊かにできるかもしれないではないか。

 

 

こんな自問自答を繰り返した末に食べたラーメンは、手が震えるほどに美味しかった。

「ああああ・・・うまぁぁぁ・・・」

という声が、勝手に漏れた。

 

行きつけの店なので、大将は怪訝な顔をしていた。いつも食べてるのに、というような顔だった。

いや、だとしても喜んでくれよ。

 

 

ミニチャーシュー丼とこくうまラーメンを平らげて、店を出た。丸三日何も食べてないと女将さんに告げると、面食らっていた。麺食らわせといて。

 

 

最高に幸せな食事だったのだが、実はいま、お腹が痛くて仕方ない。

三日も休まされていた内臓を、急に働かせてしまったせいなのだと思う。

 

僕の内臓たちは、三連休明けみたいな気持ちなのだろうか。だとしたら、相当すまないことをしてしまったようだ。

 

ごめんなといいながら、腹をさする。

グルルルルと、返事があった。